連載「みんなでひろげよう! とも育て®の“わ”!!」③

2024.03.29

本コーナーでは、地域でのつながりを大切にしながら子育て支援をしている方々のインタビュー記事をご覧にいれます!

“わ”は、「輪」であったり、「和」であったり、「環」であったり…、また驚いたときの「ワ!」でもあったり…時にはみなさんをワッと驚かせるような事例も飛び出す楽しい記事をお届けします。

 

とことんやる時間を作ってあげよう!探究学習は「将来の興味への種まき」 (木村有花さん/モンテッソーリ教育、プログラミング、品川区わたがしひろば代表)

 

こんにちは。
地域で活躍しているママたちと「とも育て」を考える「とも育てプロジェクト」のナビゲーターの大井美深です。
とも育てプロジェクトインタビュー第3回目はモンテッソーリ教育、知育食育などの講師のほか、品川区の子育て応援団体「わたがしひろば」代表の木村有花さん(以外、有花さん)です。
各種知育の分野で有花さんが大切にしている「親子のための環境づくり」について、それぞれの活動からお話をお聞きしました。

 


 

海洋地質学、知財の勉強、百貨店への就職を経て見つけたやりたいこと
「学びが楽しい!」興味を引き出す仕事をしたい

 

―――有花さんはもともと大学で海洋地質学を専攻していたとお聞きしたのですが、今の活動と何かつながりはあるんでしょうか?

 

学生時代は研究者になりたくて、大学で海洋地質学を専攻していました。ただ学んでいくと、自分で研究をするより、研究者を支える仕事に興味が出てきて、知財(特許など)の大学院へ行きました。


幸運にも、ずっと行きたかった研究機関に研修生で入ることができて、夢の場所に行けたのですが、少しそこにも違和感がありました。

やりたいことを目指していたはずなのに、「なんかちがう」が続き、少し自信喪失になったまま就職活動をはじめました。当時は、社会で必要とされている接遇や所作などのスキルが足りないと思い、某有名百貨店に就職しました。

高校卒業してすぐ就職した18歳ぐらいの同期もいる若い職場でした。ある日、宝石を探していたお客さんへ、宝石の特徴を説明していました。私は、大学で地質学を学んでいたこと、もともと地学も好きだったので鉱物の特徴は当たり前でしたが、隣で聞いていた同期が「すごい!なんでそんなこと知っているの!?」と目を輝かしていたんです。

彼女らの興味津々に私はびっくりしました。

なぜかというと、「勉強や学問に興味がなかったから大学ではなく就職を選んだのだ」と無意識のうちに決めつけていたのだと思います。

もしかしたら、本当に「勉強」は苦手・嫌い意識があるかもしれない、でも「学問・学ぶこと・知識」には興味がある…「その興味を引き出すような仕事がしたいな」「学ぶが楽しいに気付いてほしい」と思うようになりました。

そして、できるだけ人生の早い段階で興味を見つけるサポートをしたいと思い、当時まだはじまったばかりの子ども向けプログラミング教室へ転職しました。

そのあとに、妊娠・出産のライフイベントがあり退職。
資格をとり、0歳からの食育&知育、モンテッソーリ教育など、講師業(個人事業主)という働き方に転身しました。

 

 


 

手先を使う、頭を使う、どちらもできるアクティブラーニング
探究学習の将来への可能性は無限大!

――いろいろ進路変更してたどり着いたプログラミング教室。そこでの知識やノウハウは今でも生かしていますか?

 

教室運営というスキルは今の講師業に生きていると感じています。プログラミングでいうと、最近関わりだしたFLL(FIRST®LEGO®League)がまさに直結していることですね。

FLLは世界最大規模の国際的なロボットコンテストです。子どもが大好きなレゴでロボットを作り、プログラミングで動かします。アメリカ発祥で、世界110カ国、約67,000チームが参加しており、国際色も豊かです。プログラミング教室で働いていた時から、チーム育成など関わっています。

 

――レゴとロボット。手先でリアルなモノづくりをするレゴを画面上のプログラミングで動かす。リアルとデジタルのハイブリッドですね。

 

そうなんです。
ハード(レゴ作る)+ソフト(プログラミング)のどちらも学べるアクティブラーニングです。
しかも、それに加えて競技会は小学生の高学年から高校生の子どもたちがチームになって競うので、「チーム力」「プレゼン力」が必要です。

子どもにとって楽しい取り組みなので「何か頑張りたい」と思っている子、何か将来役に立つ習い事を探している親に選択肢の1つとして、知ってもらいたいですね。

 

――モンテッソーリ教育について教えてください。

 

モンテッソーリ教育についてはいろんなところで耳にすることが多いと思いますので基礎説明は割愛して、恵比寿にあるはじめの親子教室で担当しているレッスンについてお話しますと、私が力を入れているのは、「探究学習×モンテッソーリ教育」です。

例えば、ピペットで色水を入れていく。これは表面張力を使った活動なんですが、表面張力を教えるのではなく、「自分が納得するまでとことんやる」を重視しています。

スポイトで水を穴に入れていく、どこまで水が入るかな?ぎりぎりになると水が丸く見える、きれいだな…など。このスポイトによる探究をずっと眺めている子もいたり…。

 

 

――なるほど。「とことん物事をやる」という探究メインの教室なんですね。
探究テーマはどのように決めるのでしょうか?

 

テーマはこれ!とは決めていません。
教室にいろいろな道具を並べていて、その中で探究するテーマを自分で探して決めます。一人一人、子どもの性格もちがうので、その子にあった対応をしています。

自分が手にとったものを納得いくまで考えつくす「実体験の時間」は将来の興味の起源になるので、特に未就学児には実体験の時間はできるだけ作ってほしいです。



現代の子どもは忙しい…だから「物事を追及する時間」は大人が作ってあげないといけない

――有花さんが考える「とも育て」について、教えてください。

 

6歳の息子が、毎日忙しいんです。未就学児でも毎日時間に追われている…。
親が意識しないと時間を捻出できない。それが現代の日本の子どもたちの置かれている日常です。

でも、この年代はやりたいことをとことんやってほしい。

「とことん飽きるまで物事を追及すること」
やらせてあげたい親はたくさんいると思います。皆さん、頭ではわかっている。でも、仕事や家事など忙しくその時間に付き合うのは難しいのが現実です。

受験勉強みたいに明確な目標や、決まったやり方もありませんし、特に未就学児の感性や興味を伸ばすための学びに悩んでいる親は多いですよね。

そこで、私がモンテ教室で担当する子たちには「とことん追求する」をさせてあげています。忙しい親に代わり満足するまで付き合います。将来花咲く「興味の種」をたくさん提供しているイメージです。
親と一緒に子どもの興味に付き合うことが、とも育てになるかと思います。

講師の育成にも力を入れています。講師を育てることは、幸せな子どもを増やすこと、幸せな子どもが増えれば、幸せな大人も増えます。この流れを作っていきたいです。

 

 



毎月楽しめるイベントがもりだくさんの「わたがしひろば」
ママさん講師の交流会も!

 

――親だけでは見つけられない「興味」を見つけるお手伝いは心強い「とも育て」ですね。
有花さんは品川区の有名子育て団体「わたがしひろば」の代表もしていますが、現在どのような活動をしていますか?今後の予定も教えてください。

 

わたがしひろばは、赤ちゃんから楽しめる親子のためのイベントやワークショップを開催している団体です。
東京都品川区を中心に年間100回以上のイベント、講座などを開催しています。もちろん区外からの参加も大歓迎です。

 

 

 

子どもメインだけではなく親の情報収集の場にもなるように、保育園・幼稚園のお話会、離乳食教室や親子ヨガなど。また、ママさん講師が集まる講師交流会も月1で開催しています。講師の皆さんは、色彩教育、赤ちゃんの運動・マッサージ、リトミック、エステなど、多種多様。共通点はみんな頑張っていること。応援したいという気持ちからママさん講師の紹介を兼ねたチラシの制作などもしています。

わたがしの紹介チラシは区内の公共施設や病院などにも掲示していただいていて、地域の皆さんの応援もうれしいです。今後も子育て中の方が楽しい時間が過ごせるような活動を続けていきます。

 


プロフィール


木村 有花さん(きむら ゆうか)さん

食育知育の専門家/おうちモンテ 木村有花

トピックス一覧へ戻る
PageTop